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米地区連銀経済報告:経済は緩慢なペースで拡大-雇用の伸び減速

更新日時
  • 小売売上高と娯楽・ホスピタリティー需要が一部地区で減少
  • 新型コロナの感染再拡大が企業の2021年に対する楽観を抑制

米連邦準備制度理事会(FRB)が13日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によれば、経済活動は昨年終盤に緩慢なペースで拡大した兆候が見られた。ただ新型コロナウイルスの感染再拡大が影響し、雇用の伸びは減速した。

  ベージュブックでは「一部の地区は、小売売上高と娯楽・ホスピタリティーサービス需要の減少を指摘した。主として最近の新型コロナ感染者急増と感染抑制措置の強化が背景にある」と記された。今回のベージュブックは、1月4日までに12地区連銀が集めた情報を基にまとめられた。

  また「新型コロナワクチンへの期待から企業の間では2021年の成長に対する楽観が強まっているものの、最近のウイルス感染再拡大や短期的な事業環境への影響に対する懸念がそうした明るい見方を抑制している」と指摘した。

  新型コロナの新規感染者は昨年末から今年初めにかけて急増。冬の寒い時期に入ったことも相まって、人々の活動は低下した。ベージュブックによれば経済の活動状況は地域によって差があり、活動拡大を報告したところもあれば、ほぼ横ばいとする地域もあった。2地区は活動の低下を報告した。

Sector Shift

Leisure/hospitality now represents largest share of total U.S. long-term unemployed

Source: Bureau of Labor Statistics

* = April 2010 peak of long-term unemployment (unadjusted)

  ニューヨーク地区では個人消費が減少。コロナ感染拡大と制限強化、寒冷な気温が影響し、サービス業で特に雇用の弱さが見られた。フィラデルフィア地区は、ウイルス感染に関連した職場での混乱やホリデーシーズンの消費減少を報告。雇用はわずかに減少した。

  クリーブランド地区は経済活動がやや勢いを失った。感染拡大でモノとサービスに対する需要が抑制されたほか、労働力確保の問題から供給に混乱が生じた。回答者からはワクチンに期待する声も聞かれたが、このところの感染者急増で短期の需要見通しは以前より楽観度が弱まった。

  12地区の中で経済規模が最も大きいサンフランシスコ地区は、ウイルス感染急増と制限措置が影響し観光と飲食サービスで人員削減の動きが見られた。一方でテクノロジーとヘルスケアの分野では労働需要は引き続き堅調だった。

製造業は改善

  製造業はほぼ全地区で回復が続いた。パンデミック(世界的大流行)の影響でサービスよりもモノへの支出が増えたことが背景にある。ホリデーシーズンのショッピングに関しては、大半の地区で実店舗からオンラインへの移行が続いた。

  雇用は過半数の地区で増えたものの、ペースは減速。特に娯楽・ホスピタリティーの分野で雇用減を報告する地区が増えた。

  賃金は大半の地区で小幅に増加。一部の雇用主は離職防止のためボーナス提供や柔軟な勤務体制といった措置を講じた。

  物価はほぼ全ての地区が「緩慢」な上昇を報告。建築資材を含む原材料コストは一段と上がった。住宅需要の強さが続いたことが背景にある。

原題:Fed’s Beige Book Shows Modest U.S. Recovery as Job Growth Slows(抜粋)

(ベージュブックの内容を追加し、更新します)
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