「バイヤーズストライキだ」、弱気相場入り目前にしたウォール街
Vildana Hajric、Bailey Lipschultz
アップルからテスラに至るまで、大型株の一角に出された売りが売りを呼び、S&P500種株価指数は20日、年初につけた最高値からの下げが20%を超え、弱気相場の領域に入る場面があった。終盤に下げ渋ったものの、新型コロナウイルスがパンデミック(世界的な大流行)となって以来初の弱気相場入りが目前に迫っている。1カ月ほど続いている株価の軟調に、今週は小売企業の見通し引き下げが加わり、景気減速が懸念される中で消費者がインフレ高進に耐えられるのかどうかに懐疑的な見方が生じている。

ウォール街の専門家によるコメントは以下の通り:
グレッグ・テイラー氏:パーパス・インベストメントの最高財務責任者(CFO)
「もう完全にバイヤーズストライキだ。買い手は完全に信頼を失っている。この水準ではかなり売られ過ぎにみえ始め、向こう数週間に弱気相場の中での反発局面が起こるかどうか分かるだろう」
アート・ホーガン氏:ナショナル・セキュリティーズのチーフ・マーケット・ストラテジスト
「すべては今週強調された2つの大きな要素が原因だ。一つはインフレであり、その根強い高さだ。2つめはインフレ抑制のために米金融当局がどれほど積極的になるのかということだ。これがウォルマートとターゲットの予想を下回る決算で現実のものとなり、投入コストが消費者に転嫁されず、利益率が圧迫されている現状が明らかになった。誰もがこの事実を他の米企業決算にも当てはめようとしている」
「多分それは正しいことではないのだと思う。しかし一度動き出したからにはそれを止めるのは難しい」
アダム・フィリップス氏:EPウェルス・アドバイザーズのポートフォリオ戦略担当マネジングディレクター
「米連邦準備制度理事会(FRB)は与え、FRBは奪う。まだFRBプットを期待しているなら、夢を見ているに違いない。ボラティリティーが続くと予想するのには理由がある。弱気相場によく起きるような反発局面があるかもしれないが、あまり深読みしないほうが良い。市場が待望している答えはしばらく見つからないだろう。リテールのセンチメントが低く、投資家は自分自身の考えにしか頼れないという状況は決まって良くない」
マイク・マレーニー氏:ボストン・パートナーズのグローバル市場調査担当ディレクター
「起こるべきして起きたことだ。弱気筋はこうなることを望んでいたからだ。かなりの投資家が弱気に転じた。今はセンチメントにポジショニングが追いつこうとしているところだ」
エド・モヤ氏:オアンダのシニア市場アナリスト
「S&P500種が弱気領域に入ってしまったからには、FRBが市場の機能に懸念を表明するまで、反発局面はどれも弱々しいものになるだろう。インフレはFRBにとって最大の敵だが、信用の状況が悪化し流動性の問題が浮上すれば、引き締め路線を変更することはあり得る」
ジェイソン・ブレイディ氏:ソーンバーグ・インベストメント・マネジメントの最高経営責任者(CEO)兼社長
「1年以内にリセッション(景気後退)入りするというのが私の見解だ。当社は米国外にもっと高いバリューを見いだし、グローバルに投資先を見ている。リセッションになればFRBのせいにされるだろう。おそらくその通りだ。彼らは長く待ち過ぎた」
ロス・メイフィールド氏:ロバート・W・ベアードの投資戦略アナリスト
「小売企業の決算で個人消費のひび割れが露呈した。しかし消費全般はなおもかなり強く、貯蓄の余剰分もある。賃金の伸びもなお強い。インフレはいずれセンチメントを本格的に押し下げ、消費を圧迫すると思われるが、今も消費は堅調で利益も当面は伸びている。従ってこれまでの縮小は総じて多面的なものだった。状況はひどいが、実際には水面下ではそれほど悪くない」
原題:‘It’s a Buyers Strike’: Investors Weigh In on Bear Market Plunge(抜粋)