歴史的な100bp米利上げか、6月CPI受け市場の織り込み進む
Ben Purvis-
7月FOMC会合での100bp利上げ、約4分の3の確率で織り込む
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カナダ中銀の大幅利上げも響き景気後退懸念が台頭、逆イールド拡大

The Marriner S. Eccles Federal Reserve building stands in Washington, D.C., U.S., on Monday, Aug. 13, 2018.
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg6月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなったことを受け、短期金融市場では、連邦公開市場委員会(FOMC)による7月会合での100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利上げを織り込む動きが強まった。
7月のFOMC会合日程とリンクしたオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は一時2.52%に上昇。現在の実効フェデラルファンド(FF)金利(1.58%)を約94bp上回る水準だ。これは、75bp以上の利上げを確実とみているほか、4分の3前後の確率で利上げ幅が100bpとなる可能性を示唆している。
一連の会合日程とリンクしたOISは、利上げの到達点として2022年12月の約3.7%を織り込んだ。その後、24年3月末までに75bp強の利下げが行われると予想している。
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野村のエコノミストは顧客向けリポートで、現在は100bp利上げを予想しているとし、「予断を許さない状況だが、予測と最適な金融政策の観点の双方から『正しい』判断だとわれわれは考える」とコメントした。
JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は「7月に100bp、9月に75bpの利上げが実行されれば、年末にかけての成長見通しは恐らく悪化するだろう。金融引き締めがもっと前倒しになる動機が与えられたことが最大のインパクトだという考えに、現時点では傾いている」と述べた。
ドイツ銀行の米国担当シニアエコノミスト、ブレット・ライアン氏は従来予想より大幅な利上げのリスクを織り込むことは理にかなうが、米金融当局から明白な意思伝達がない限りその可能性は低いとみている。
タカ派の当局者らが「そうしたメッセージを伝達したければ、その時間はある」とライアン氏は述べた。
アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「6月に起きたことの後では、もうどんな可能性も排除しない」と語る。「9月からは50bpに利上げペースを落とすだろうと考えていたが、この先2カ月のインフレ統計が5月、6月と似たような数字になれば、すべての予想は取り下げざるを得なくなる」と述べた。
逆イールド拡大
米CPI統計を受け、米国債は全年限で売られたが、カナダ銀行(中央銀行)が予想を上回る100bpの利上げを実施したことなども背景に、期間長めの米国債が反転した。

カナダ中銀の大幅利上げは米短期金融市場の100bp利上げを織り込む動きを後押ししたが、時間の経過に伴って米経済のリセッション(景気後退)入り懸念も拡大。リセッションリスク指標の一つとして米国債市場で注目されている2年債と10年債の逆イールドが進行し、利回り格差は一時24bpと、2000年以来の水準に達した。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の米マクロ戦略責任者ジョージ・ゴンキャルベス氏は「現在の金融当局はインフレの問題を抱えており、リセッションのシグナルが一部あっても引き締めをためらうことはできない」と指摘。「当局が政策金利を4%に近づけ、10年債利回りが3%にとどまった場合、『スタグフレーションに類似した環境』を反映して、逆イールドは50bpに広がる可能性もある」と分析した。
原題:Inversion Deepens as Traders Ramp Up Bets on Full-Point Fed Hike、Fed Swaps Price in One-in-Three Chance of Full Point July Hike、Fed Could Weigh Historic 100 Basis-Point Hike After CPI Scorcher(抜粋)