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欧州ESGファンドの「除外」ルール案、厄介な影響を及ぼす可能性

  • ESMAがESGを名乗るファンドに定量基準課すことなど提案
  • 「まさにESG」と言えるかもしれないファンド排除する恐れ-法律家

欧州ESG(環境・社会・企業統治)関連ルールの提案に組み込まれている「除外基準」が、非常に大きく、かつ「厄介な」影響を運用業界に及ぼす可能性がある。ESG投資のファンドマネジャーにアドバイスする法律家が、こう警鐘を鳴らしている。

  こうした見方が示されたのは、欧州証券市場監督機構(ESMA)が広く意見を募る「コンサルテーション」の終了時期だ。

  ESMAはESGを名乗って販売するファンドに対し、定量基準を課すことを提案している。

  具体的にはESG関連ラベルを付けたファンドについて、少なくとも投資資金の80%が、実際にESG関連の目的達成のために振り向けられることが求められるとしている。さらに「サステナビリティー」と称する場合、ファンドマネジャーはESG関連の目的に向かう80%の資産のうち50%以上が、ラベルに合った資産であることを示せなければならない。

  そうした要求の下、最低要件の「ミニマムセーフガード」の一環で、ファンドマネジャーは一定の資産の除外を強いられるとESMAは示唆している。基準がやや緩い欧州ESG分類の「8条」ファンドは、悲惨な結末を迎える可能性がある。モーニングスターの推計によると、「8条」ファンドのうち27%しか、ESMAが示したサステナビリティー関連の基準を満たしていない。

  除外基準の使用について「非常に厄介だ」とロンドンの法律事務所リンクレーターズのパートナー、ラザ・ナイーム氏は指摘。「多くのファンドマネジャーは除外という投資手法を使わず、使う場合もガイドラインで示されたレベルに満たない」と言う。この結果、除外基準は「非常にインパクトが強い」ものとなり、結局「まさにESGファンドと言えるかもしれない数多くのファンドを排除することになるだろう」。

混乱の波に直面か

  ESMAがこうした提案をしたのは、投資家にとって世界でも最も野心的な「反グリーンウォッシュ」の枠組みとされる「EUサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)」を巡る混乱の最中だ。

  滑り出しの時点で明確なガイドラインが不足していたため「痛みを伴う修正」が必要となり、約1750億ユーロ(約25兆3700億円)規模のファンドがEUで最も厳しいESG分類のSFDR「9条」から格下げされた。

  そうした混乱が生じたのは、9条ファンドについて「100%サステナブル資産」である必要があるとEUが表明したためだ。コメルツ銀行のアナリストやジェフリーズは、足元で同様の混乱の波に8条ファンドが直面している可能性があると警告。ブルームバーグが集計したデータによると、8条ファンドの資産規模は計4兆6000億ユーロ相当に上る。

  ナイーム氏によると、ESMAによる「適格資産」の解釈を踏まえると、「マルチアセット戦略のファンドや、デリバティブ(金融派生商品)を活用するファンド」などが矢面に立たされる見通しだ。

  またインパクト投資も同様に影響を受けており、グローバル・インパクト投資ネットワーク(GIIN)はESMAのコンサルテーションに対して、提案では最低基準が「強調され過ぎている」と指摘した。

  「定量基準を設ける論拠については理解している」とGIINのチーフ・インベスター・ネットワーク・オフィサー、ショーン・ギルバート氏はブルームバーグにコメント。その一方、インパクト投資ファンドに対して「意図したインパクトに関する目的や、そうした目的の達成方法、インパクトの実績の計測・管理手法を示すよう求める方がより大事だ」と語った。

  こうしたフィードバックを考慮した上で、ESMAは第2四半期か第3四半期までに、ガイダンスを最終決定する方針だ。

原題:Fund Exclusion Rule Has Lawyers Sounding Alarm: ESG Regulation(抜粋)

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