Your browser is: WebKit 537.36. This browser is out of date so some features on this site might break. Try a different browser or update this browser. Learn more.
コンテンツにスキップする
Subscriber Only

パウエル氏が警告したデフォルト救済期待、過去のロビー活動と呼応

  • 2011年、シンクタンク在籍のパウエル氏は米デフォルト回避に尽力
  • 3月7日には上院銀行委員会で半期に一度の証言
Jerome Powell, chairman of the US Federal Reserve,

Jerome Powell, chairman of the US Federal Reserve,

Photographer: Al Drago/Bloomberg

米連邦債務を巡り過去最悪の政争が繰り広げられた2011年、法定上限引き上げ以外に選択肢がないことを議会に理解させようと尽力した元財務省当局者がいた。ジェローム・パウエル氏、今の連邦準備制度理事会(FRB)議長だ。

  当時の共和党には、オバマ政権下の財務省が発した警告を無視し、上限引き上げに代わる選択肢を追求しようとする議員らがいたが、ワシントンのシンクタンク、超党派政策センター(BPC)に籍を置いていたパウエル氏は、こうした企てを断念させることに成功した。同氏はジョージ・H・W・ブッシュ政権時代に財務次官を務めた経験もあった。

  現在と同様、当時もデフォルト(債務不履行)がそれほど悪いことなのかと、疑問を抱き始めた議員らがいた。しかしパウエル氏の揺さぶりが奏功し、デフォルトは寸前で回避された。同氏の介入は米国債の格下げを防ぐことはできなかったものの、同氏をFRBへ導く推進力になった。

  来週3月7日には上院銀行委員会で、金融政策について半期に一度の証言が予定されている。債務上限を巡って議会が紛糾し、下院の過半数を制する共和党が上限引き上げの条件として抜本的な歳出削減を求める図は、2011年をほうふつとさせるだろう。

  パウエル氏も10年余り前に発したメッセージを再現し始めている。

US Debt Burden Surges | Fiscal path has worsened thanks to crises
米連邦債務の公的残高、対GDP比率
出所:行政管理予算局(OMB)

 

  パウエル氏は今年2月1日、連邦公開市場委員会(FOMC)政策発表後の記者会見で、「打開のための唯一の方法は、議会が債務上限を引き上げて米政府が満期を迎えた支払い義務を全て履行できるようにすることだ」と主張。「この道から外れるのは極めてリスキーだ」と述べた。

FRB、デフォルトから米経済救えないとパウエル議長が警告

  パウエル議長は報道官を通じ、この記事に関するコメントを控えた。

  2011年当時、BPCは米債務がいつ上限に達するか独自の推計を始め、パウエル氏とそのチームはその日を「Xデー」と名付けた。この表現は今ではワシントンとウォール街の両方で普及している。

  パウエル氏は同年、ブルームバーグテレビジョンで「債務上限がどのように機能するのか事実に基づいて説明する。上限を引き上げなければ特定の結果が起き、それは不可避であるということだ」と発言。「戦術的、あるいは政治的な助言を与えるつもりはない」と述べていた。

  それから2年後の2013年、同氏が理事となっていたFRBでは、債務上限の問題が深刻化した場合に備えて詳細な討議があった。議論の詳細は後に公開された記録で明らかになっている。

  パウエル理事(当時)は金融の安定を確保するための数々の措置を支持する一方で、デフォルトとなった米国債の買い入れなどには深い懸念を表明。そのような措置には「嫌悪感」を抱くとまで述べて反対している。

  「この問題で大惨事が起き、実際にそれに対処する必要が生じるとしても、現段階でこうしたい、こうはしたくないと述べるのは控えたい」と語っていた。

  それから約10年後、今年2月1日の会見で同氏は「タイムリーな形での行動がなかった場合の結果から、当局が経済を守ることができると思い込むのは禁物だ」と述べた。

原題:Powell’s Debt-Limit Alarm Echoes Stealth Lobbying Effort in 2011(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE