ユーロ圏インフレ、鈍化止まる-ECBの追加利上げ判断難しく
Jana Randow、Alexander Weber-
8月のユーロ圏CPIは前年同月比5.3%上昇、市場予想は5.1%上昇
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ナティクシスは利上げ休止見込むも、ダンスケ銀は継続を予想
ユーロ圏のインフレ鈍化が8月に止まった。利上げ休止に踏み切るかどうか、物価動向を注視している欧州中央銀行(ECB)当局者にとって難しい展開となった。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が発表した8月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.3%上昇で、7月と同じインフレ率となった。ECBが目指す水準の2.5倍余りで、依然として高水準だ。エコノミスト調査では8月は5.1%上昇が見込まれていた。
変動の激しい項目を除くコアCPIは5.3%上昇と、7月から幾分鈍化した。
8月のユーロ圏消費者物価指数:速報値(表)
トレーダーの間ではコアインフレ減速が注目され、ECBの利上げ見通しは引き続き後退している。ナティクシスの金利ストラテジスト、テオフィル・レグランド氏は「市場にとっては9月の利上げ休止には十分な統計内容だ」と述べた。
2週間後に行われるECB政策委員会の会合では、ユーロ圏の成長モメンタムの減速が物価上昇圧力を十分に抑制し、目標のインフレ率2%を最終的に達成できるかを判断する。その上でコアCPIは特に重要な指標となる。状況によっては、10回連続の利上げによって中銀預金金利を過去最高の4%に引き上げる可能性がある。

トレーダーが織り込む来月の4%への利上げ確率は30%。CPI発表後のユーロは下げ幅を拡大し、欧州債は上昇した。
その一方で、ダンスケ銀行のチーフストラテジスト、ピート・クリスティアンセン氏は「全体的にはディスインフレのプロセスが進行しているとみられるが、われわれの見方ではインフレ率を適時に目標の2%へと戻せることをECBが確信できるほどではない」と述べ、「今回の統計内容は9月利上げの根拠になるというのがわれわれの見解だ」と続けた。
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原題:Euro-Zone Inflation Gauges Hold Above 5% Before Key ECB Meeting(抜粋)