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FRBなど主要中銀、危機対応の再考を-有力団体G30がリポート

  • 量的緩和の長期化でインフレ加速への対応が遅れたと厳しく批判
  • 財政政策上や金融市場面の理由から身動きできなくなる事態警告

米連邦準備制度をはじめとする主要各国・地域の中央銀行は、放漫財政や投資家の熱狂のために身動きが取れなくなり、金融緩和を維持せざるを得なくなる事態を避けるため、将来の景気悪化や金融危機への対応の方法を再考する必要がある。

  イングランド銀行(英中銀)のベイリー総裁やニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁ら、現職・元職の当局者や学識経験者などで構成する有力団体グループ・オブ・サーティー(G30)は、作業グループがまとめた最新リポートでこのように提言した。

  リポートは、当局者が危機回避のための措置を講じる用意がなければならないとする一方、量的緩和(QE)など非伝統的な政策には有効期限があることを明確にすべきだと指摘。政策金利に関する明示的ないし暗黙的なフォワードガイダンスなどを通じ、将来の政策運営の余地を必要以上に狭めることも避ける必要があるとしている。

  リポートをまとめた作業グループの共同議長の1人で、インド準備銀行の総裁を務めたシカゴ大学経営大学院教授のラグラム・ラジャン氏は発表文で、「危機に駆られた政策措置が助けにならない新常態に固定化するのは望ましくない」と論じた。

  リポートでは、新型コロナウイルス禍の結果、実質的にこうした状況が生じたと分析するとともに、インフレ加速への対応が遅れたとしてパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる米金融当局などに極めて批判的な見解を示した。

  具体的には、当局者は自分たちが約束した政策にとらわれると同時に、物価上昇が一過性の要因によるものだと誤って予測した経済モデルに過度に依存したとしている。

  元イスラエル中銀総裁で作業グループ共同議長の1人、ジェイコブ・フレンケル氏は中銀について、「マクロ経済の先行きを正確に予測することができるか現実的になる」必要があるとし、「特定の複雑なモデルのとりことなるのを避けるべきだ」とコメントした。

  今後に関しては、緩和策が公的債務や民間部門の債務の膨張を促した状況を受けて、それぞれ財政政策上や金融市場面の影響への配慮から中銀が身動きできなくなる「財政支配(fiscal dominance)」や「金融セクターの優越(financial dominance)」の危険性に警告を発した。

  このうち財政支配を巡っては、中銀として財政当局とのチキンレースの関係で独立性を強く主張し、金利上昇が政府財政に打撃となって公共サービスの削減につながるといった警告に屈することがないよう呼びかけた。

  作業グループのプロジェクトディレクター、プリンストン大学のマーカス・ブルナーマイヤー教授は「高水準の公的債務を背景に、金融政策と財政政策の相互作用は一層緊張をはらんだものとなるだろう」とみる。

  また、金融優越のリスクは、緩和策の長期化により市場が中銀の支援に過度に依存することで生じると説明。信用引き締めが金融危機の引き金になることを中銀が懸念して引き締めが難しくなる状況を指す。

  リポートは、中銀が金融政策運営に当たり自由裁量的な政策への依存を減らし、簡潔で透明性の高いルールへの依存を高めるよう提言。元ドイツ連邦銀行総裁で共同議長の1人であるアクセル・ウェーバー氏は「自由裁量的措置を繰り返し追求すると、中銀が将来的に首尾一貫した行動を取る能力が損なわれる傾向がある」とし、「中銀は中期的にインフレ目標を達成することに主に重点を置くべきだ」と論じた。

(免責事項:G30会長のマーク・カーニー氏は前イングランド銀行総裁で、ブルームバーグの取締役会の議長も務める)

原題:Fed, Main Central Banks Should Rethink Crisis Response, G30 Says(抜粋)

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