OPECプラスが「自主的な」追加減産、市場は懐疑的-原油下落
Grant Smith、Salma El Wardany、Fiona MacDonald-
OPECプラス、全体で日量90万バレル前後の追加減産で合意
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ロシアやUAE、クウェート、イラクなど追加減産を表明-声明
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は、日量90万バレル前後の追加減産で合意した。だが、完全に実行されるのか市場は懐疑的なままで、原油価格は下落した。
OPECプラスは11月30日、オンライン形式で会合を開き、ロシアやアラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、イラクを含むメンバーが追加減産を表明したと、ウェブサイトに掲載した声明で発表した。サウジアラビアは日量100万バレルの自主減産を来年1-3月まで続けると表明した。
ただ、追加減産が「自主的」なベースにとどまったことから、どの程度実行されるか市場は警戒している。協議は難航し、最終的にアンゴラは生産枠縮小を拒否し、現行レベルで生産を継続すると説明した。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は当初の上昇を消し、ニューヨーク時間30日午後1時11分(日本時間12月1日午前3時11分)時点で1.5%安の1バレル=76.67ドル
元ホワイトハウス当局者で、現在は米コンサルティング会社ラピダン・エナジー・グループの社長を務めるボブ・マクナリー氏は「サウジとロシアの自主減産継続と並び、漸進的な減産が確実に起きるのか具体的な証拠はまだない。このために原油価格は大きく下げている」と語った。
潤沢な供給と厳しさを増す経済状況を背景に、ここ2カ月で原油相場の見通しは悪化した。国際エネルギー機関(IEA)などは需要の伸びが大きく減速すると予想しており、来年は原油価格が一段安となる可能性もある。
UBSグループのアナリスト、ジョバンニ・スタウノボ氏は「OPECプラスの生産削減は全体合意の一部ではなく、『自主的』な減産のようだ」と述べ、「従って、その大部分は紙上の約束であるかもしれず、実際の削減はそれよりも少なくなる可能性が懸念される」と話した。
今回の会合は当初26日に予定されたが、アフリカの一部メンバー国の生産枠を巡って意見が対立したため、開催は4日間遅れた。アンゴラの生産枠は日量およそ20万バレル引き下げられ、110万バレルとなったが、同国の代表はこの生産枠を拒否した。
アンゴラのOPEC理事を務めるエステバオ・ペドロ氏はインタビューで、「OPECが決定した枠を上回る生産を行う」と発言。「OPECに従わないという問題ではない。われわれの立場を説明しており、OPECはそれを考慮すべきだ」と述べた。
一方、OPECプラスの会合ではブラジルが、減産を義務付けられない協力憲章への参加を表明するという想定外の動きがあった。シルベイラ鉱業・エネルギー相は30日に会合で、ブラジルが来年にこうした行動を取ると表明した。
原題:OPEC+ ‘Voluntary’ Oil Output Cuts Fail to Convince Traders (1)、OPEC+ Cuts Fail to Convince Oil Traders Amid Lack of Detail(抜粋)