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EU、ウクライナ7.7兆円支援策で合意できず-ハンガリーが阻止

更新日時
  • 27カ国中26カ国は支持、議論は来年初めに持ち越しへ
  • EUは14日、ウクライナの加盟交渉開始で予想外の合意
Flags of Ukraine and European Union in Kyiv.
Flags of Ukraine and European Union in Kyiv. Photographer: Sergei Supinsky/AFP

欧州連合(EU)が計画していたウクライナ財政支援パッケージを、ハンガリーのオルバン首相が阻止した。西側のウクライナ支援が揺らぎつつあるとの懸念をEUは払拭できず、議論は来年初めへと持ち越されることになった。

  EUは14日、ウクライナの加盟交渉開始で予想外の合意を果たし、同国に重要な政治的勝利をもたらした。だが、500億ユーロ(約7兆7500億円)規模の支援パッケージを巡る交渉は、加盟27カ国中26カ国が支持しているにもかかわらず依然停滞している。

  支援の遅れは、戦禍に苦しみ重大な局面にあるウクライナの不安を増す公算が大きい。米国ではバイデン大統領が提案した610億ドル(約8兆6400億円)規模のウクライナ支援案が承認を得られないまま、下院は今週休会に入った。

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記者団に話すミシェルEU大統領(15日、ブリュッセル)
Photographer: John Thys/AFP/Getty Images

  ミシェルEU大統領(欧州理事会常任議長)は、ウクライナ支援を巡る協議は来年にずれ込むと説明。加盟国はハンガリーのオルバン首相の同意を取り付ける方法を引き続き模索する。加盟国がEUの予算手続きを通さずにウクライナに資金を送る案などが次善策になるかもしれないという。

  近く交代するオランダのルッテ首相は、ウクライナ支援を含む予算パッケージ全体に26カ国が合意したと明らかにし、加盟国は恐らく1月後半に臨時首脳会議を開くことになるだろうと語った。

  ルッテ氏は15日朝、「来年初めに事態は打開できるとかなりの自信を持っている」と記者団に述べ、「まだ時間はある。ウクライナは向こう数週間、資金が尽きることはない」との認識を示した。

  オルバン氏はウクライナ支援策を拒否したことをX(旧ツイッター)への投稿で表明。「適切な準備の後、来年のEU首脳会議でこの問題に再び向き合う」と続けた。

  ウクライナに対して西側が新たに約束した支援の額は、ほぼ2年前にロシアが侵攻を開始して以降で最低の水準に落ち込んだ。一方、ロシアは国内で軍事生産を強化し、戦線から離れたウクライナ内部への攻撃を強めている。

原題:Hungary Vetoes Ukraine Aid After EU Agrees on Membership Talks(抜粋)

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