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ルペン氏極右最大勢力へ、仏下院第1回投票-絶対多数阻止で候補調整も

更新日時
  • マクロン氏の与党連合は3位、左派連合の新人民戦線が2位に
  • 7日に決選投票、左派とマクロン氏陣営は極右阻止で候補取り下げも

6月30日投開票されたフランス国民議会(下院、定数577)選の第1回投票は、マリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党「国民連合(RN)」が最大勢力になる見通しで、極右勢が絶対多数を目指す勢いだ。7月7日の決選投票で、RNと共闘勢力が絶対多数を確保できるかどうかに今後の焦点は移る。

  マクロン大統領の与党連合は第3勢力にとどまる見込み。マクロン氏や左派連合「新人民戦線」は極右政権発足を阻止する戦略を練り始めた。

  調査会社5社の分析では、RN陣営の得票率は最大34%、新人民戦線は約29%、与党連合は21-22%と予想される。エラベの調査結果によれば、577選挙区のうち最大320が決選投票で少なくとも当初は3候補の争いになりそうだ。

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出口調査の結果を受けて演説するルペン氏(6月30日)
Photographer:Francois Lo Presti/AFP/Getty Images

  マクロン大統領は辞任する予定はないと明言しており、大統領の地位が危うくなるわけではない。しかしこの日の選挙結果は、マクロン氏がRNと共に統治しなければならない可能性が高いことを示唆する。RNは移民や年金改革、欧州連合(EU)強化といったマクロン氏の優先政策にほぼ反対の立場だ。

  ルペン氏は30日夜、仏北部の自らの選挙区で支持者らに対し、RNは「マクロン氏の連合を実質的に一掃した」と主張し、「決選投票が決定的になる。フランスが必要とする改革を主導するには絶対多数が必要だ」と訴えた。絶対多数を占めれば法案を容易に通すことができ、内閣不信任投票も乗り切れる。

  アジア時間1日午前の取引で、ユーロの対ドル相場は0.3%高の1ユーロ=1.0745ドルと小幅高で取引された。ユーロ・ストックス50指数先物は一時1%上昇した。欧州時間に入ると、フランス10年国債のドイツ国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は一時7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小し、73bpと2週間ぶりのタイトな水準となった。

ユーロ、仏選挙後の取引で小幅上昇
 
 

  新人民戦線のジャンリュック・メランション氏は今回の選挙は左派と右派の争いになりつつあると指摘。場合によっては極右打倒のため決選投票で新人民戦線の候補者を取り下げるつもりだと語った。同様にマクロン氏の「再生」も、第3位で決選投票に残った自党の候補を撤退させ、「共和国の価値観」を尊重する他の勢力の候補を後押しする意向を示した。

  オランド前大統領は、ルペン氏が「権力の入り口に立っている」とした上で、「極右が多数派になるのを阻止することが急務だ」と呼び掛けた。オランド氏は新人民戦線の統一候補として国民議会に出馬した。

  マクロン氏は出口調査の結果を受け、「決選投票に向けた幅広い民主・共和勢力の連合」を声明で訴えた。

  マクロン大統領のチームが左派と連携しようとする動きを示す初期の兆候も見られる。アタル首相は6月30日の夜、不評だった失業保険改革の実施を停止すると決定した。手厚い支援の縮小が人々の就労を促すとしていたが、失業率が上昇する中で野党から広く批判を浴びていた。

  決選投票の書類提出の締め切りは2日午後6時(日本時間3日午前1時)に設定されており、その時点で状況がより明らかになると予想される。

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新人民戦線のジャンリュック・メランション氏は、決選投票での候補者調整に言及した
Source: Bloomberg

 

  XTBのリサーチディレクター、キャスリーン・ブルックス氏によれば、RNの絶対多数阻止を目指す連合が信頼できると受け止められれば、フランス市場は回復する可能性が高い。絶対多数勢力不在のハングパーラメントの下で、下院は身動きのとれない状態になると考えられるが、市場はまさにそれを望んでいるとブルックス氏は指摘した。

市場混乱

  欧州議会選でRNが圧勝し、中道の与党連合が大敗したことを受け、マクロン大統領は国民議会を解散し、総選挙を実施すると6月9日に発表した。その後のフランス市場の混乱に伴い、同国株の時価総額は2000億ドル(約32兆2000億円)近く失われ、ドイツ国債に対するフランス国債のスプレッドは先週末、2012年以降で最も拡大した。

  RNのジョルダン・バルデラ党首は選挙戦を通じて、同党が経済政策に関して責任あるアプローチを取ると表明し、有権者の不安を和らげようとした。同党は電気・ガス料金引き下げに加え、年金の支給開始年齢引き上げを柱とするマクロン政権の年金制度改革見直しを公約に掲げているが、それ以外の経済政策の詳細はほとんど示していない。

  支給開始年齢を現行の62歳から64歳に段階的に引き上げる年金制度改革は特に不人気で、物価高にあえぐ国民の生活不安を助長し、政権への不信を高めた。年金改革を巡っては抗議デモが頻発し、一部が暴徒化する事態にまで発展した。

  RNは国民の支持が得られないことが分かったユーロ圏離脱の主張は取り下げたが、電力市場価格の再交渉やEU予算へのフランスの拠出金減額などEUとの対立につながりかねない政策も公約に含まれる。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のチーフ欧州エコノミスト、ジェイミー・ラッシュ氏らは「主要な経済リスクは、選挙で大きな負託を得たRN政権が、大掛かりで費用のかかる長い政策リストを実行に移そうとすることだ。債券相場急落の引き金となり、成長が停止する恐れがある」と警告した。

 得票率見通し獲得議席数見通し
国民連合(RN)33%-34.2%230-305
新人民戦線28.1%-29.6%120-200
与党連合20.7%-22.4%60-125

  欧州首脳もウクライナ支援や防衛支出などEUの重要政策に多大な影響を及ぼしかねない仏国民議会選挙の結果を注視している。

  ドイツのショルツ首相は先の公共放送ARDとのインタビューで、「私はフランスの選挙を懸念していると明言したい」と発言。「ルペン氏以外の政党が選挙で勝利することを願っている。だがそれはフランス国民が決めることだ」と述べていた。

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原題:Le Pen Far Right Wins French First Round and Chases Majority (1)Le Pen’s Far Right Wins French First Round and Targets MajorityMain French Parties Clash on Economy, Immigration in Debate (1)(抜粋)

(中道と左派との連携の兆候などを追加して更新します)
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